【微積物理】等加速度運動を微積分で全解説!

スポンサーリンク
物理


前回は力学の基本中の基本である位置、速度、加速度ベクトルについて学習しました。今回はその知識を用いて、等加速度運動という運動について扱います。
高校物理においては、加速度は一定のものとして計算することがほとんどです。
加速度が変化するような場合の多くはその前後で運動方程式を立てなおす事によって解決してしまうため、実質的には等加速度運動における考え方が非常に重要になってきます。

前回の内容はこちらからどうぞ↓↓

【微積物理】位置、速度、加速度と微積分の関係について解説します!
高校物理の範囲を微積分を使ってわかりやすく学び直すという事をテーマに物理の解説をしていきます! まずは位置と速度、加速度について微積分を用いて表すことからスタートしましょう。

00位置、速度、加速度ベクトルの復習

01 等加速度運動

等加速度運動とは、加速度ベクトルが定ベクトルである場合の運動、すなわち\(a=Const.\)である場合を指します。(Const.は一定の意味)

この条件において加速度ベクトルを積分した式を考えると、
\[\int^t_0 a dt=at\]
一方、加速度を積分した式は、
\[\int^t_0 a dt=v(t)-v(0)\]
と表すことができたので、これら2つの式より、等加速度の条件において、
\[at=v(t)-v(0)\] \[\color{blue}{\therefore v(t)=v(0)+at}\]

という関係式を得ることができます。これは等加速度運動における速度ベクトルと加速度ベクトルの関係を表した式であり、非常に重要です。

さらに位置ベクトルとの関係を知りたいので、速度ベクトルを積分した式を考え、上式を代入することによって計算をしてみましょう。
\[\int^t_0 v dt=r(t)-r(0)\] \[\int^t_0 \{v(0)+at\} dt=r(t)-r(0)\] \[v(0)t+\frac{1}{2}at^2=r(t)-r(0)\] \[\color{blue}{\therefore r(t)=r(0)+v(0)t+\frac{1}{2}at^2}\]

このように、位置ベクトルと加速度ベクトルとの関係式を導くことができました。
また、この得られた2式から時刻tを消去することで、時刻に依存しない式を得ることができます。
\[v(t)=v(0)+at\]より、\[t=\frac{v(t)-v(0)}{a}\]
であるから、2つ目の式に代入することによって
\[r(t)=r(0)+v(0)\Bigl\{\frac{v(t)-v(0)}{a}\Bigl\}+ \frac{1}{2} \frac{\{{v(t)-v(0)}\}^2}{a}\] \[\color{blue}{\therefore 2a(r(t)-r(0))=\{{v(t)}\}^2-\{{v(0)}\}^2}\]
この式は、先ほども言及した通り時刻tに依らない式であるため、初期状態とある時点の状態を単純に比較したい際に非常に有用です。
わかる方はちょうど保存則のような考え方だと理解してもらえると良いかと思います。

02まとめ

等加速度運動における重要な式をまとめておきます。

\[v(t)=v(0)+at\] \[r(t)=r(0)+v(0)t+\frac{1}{2}at^2\] \[2a(r(t)-r(0))=\{{v(t)}\}^2-\{{v(0)}\}^2\]

次回は力学の最重要項目である運動方程式の扱いについて学びます。
次回あたりから力や運動など力学らしさがふんだんに出てきますので、今回の内容をしっかりと抑えたうえで臨んでみてください。